2008/05/25

それを言うと冗談の言いすぎだ

ガピイというのは「魚やエビを腐らせて擂りつぶした塩辛に似た食べ物(注)」で、ビルマの人々の食事には欠かせない食品だ。かなり強烈な臭いを発するので、ビルマの人々の「外国人が食べているのを見るととうれしくなってしまう食品」にも指定されている(たいていの日本人にとっては納豆だ。もっとも、ビルマでは納豆も食べる)。

魚とエビが主原料であるから、新鮮で上等な海産物が獲れる土地のガピイはおいしいとされる。今回のサイクロンでもっとも被害を受けた町のひとつ、ラブッタも名産地として知られている。

日本で政治活動を行うあるビルマ人が、酒を飲みながらこんなことを言った。

「もう、ラブッタのガピイは食べられない! 水死体の肉を食べた魚だからね」


(注)『それを言うとマウンターヤの言いすぎだ』(新宿書房、マウンターヤ著・田辺寿夫訳)p12の注より引用。