2008/05/19

ランボー最後の戦場


ランボーが、どうやら勝手にビルマを最後の戦場と思い定めてしまった模様だ。

それはそれでかまわないし(映画の中だから)、現実に同じようなことをしている人もいる。例えばカレン民族解放軍(KNLA)に加わる日本人がそれだ。戦いたがり屋としか思えないが、人それぞれにいろいろな考え方、命の使い道があるということだろう。

もっとも、ビルマの人々の中にもこうした戦いたがり屋を歓迎する人もいる。

3年前、ヤンゴンでタクシーに乗ったとき、初対面の運転手がいきなりこんな風に言ってきたのにはびっくりした。

「あんた外国人だろ? イラクみたいにアメリカがビルマにやってきて、政府をやっつけてくれねえかな!」

もちろん、アメリカが来るといっても、スタローンではない。名うての戦いたがり屋、アメリカ軍だ。要するに、こんな危ない願望を抱くほど、つまりイギリスと日本の軍隊がかつてビルマでどれだけひどいことをしたかすら忘却してしまうほど、ビルマの国民は軍事政権に追いつめられているというわけだ。とはいえ、現実にアメリカの軍隊がやって来たとしたら、その結果はイラクと同じく悲惨にちがいない。

ビルマの民主化においては、武力によらない解決、死者を出さない解決こそが最良のものだ。実際ほとんどの民主化団体、少数民族組織が平和的解決への道を探っている。

「ムダに生きるか、何かのために死ぬか。お前が決めろ」とは、劇中でランボーが口にする台詞にして、宣伝文句だが、民主化を求める政治家や政治活動家の言葉ではありえない。まともな政治指導者にとって問題となるのは「ムダに国民が死ぬビルマか、何かのために人が生きることのできるビルマか」の二者択一、そして答えはわかりきっている。