2008/05/08

ビルマの人々の声明文

「2008年4月26日在外投票事件」抗議のための連帯のお願い

4月26日、東京品川のビルマ(ミャンマー)大使館前で、静かに並んで投票のときを待っていたわたしたち在日ビルマ国籍者は、日本の警察と機動隊に襲われました。彼らはわたしたちを大使館の前から引き離そうとして、乱暴を働きました。押しつぶし、殴り、羽交い締めにしました。女性の服を剥ごうとしました。1人の有能な指導者が逮捕され、12名が怪我を負い、救急車で病院に運ばれました。なかには妊娠3ヶ月の若い女性もいました。

わたしたちはただビルマ国民として当然の権利を行使しようとしていただけなのでした。自由と人権をないがしろにしているビルマ軍事政権は、自分たちの権力の存続のみを目的とした憲法を制定し、その賛否を問う国民投票を5月10日に行おうとしています。この国民投票に先立ち、軍事政権は各国のビルマ大使館で在外有権者のための投票を実施しました。4月26日と27日が日本での在外投票日でした。

だから、民主化活動家であるわたしたちは、パスポートを手に、拒否の票を投ずる決意を胸に、大使館前に並んでいたのです。

ですが、軍事政権はわたしたちを敷地内に入れようとはしませんでした。軍人たちはあらかじめ投票させて良い人だけを選別していたのでした。民主化を求める者、非ビルマ民族の側に立つ者、難民である者ははじめから排除されていました。

それでもビルマの国民であるわたしたちは投票権を求めて、大使館前に並び続けました。

大使館側はついにわたしたちを追い払おうと決めました。警察と機動隊がやってきて、ただ立っていただけのわたしたちをまるで石ころのように蹴散らしたのでした。わたしたちは暴力を振るわれながら、1946年以来続く非ビルマ民族に対する迫害を、1988年の民主化運動の弾圧を、そして去年のサフラン革命を想起し、わたしたちを痛めつける日本の警察官の手足の一本一本にまぎれもない軍事政権の刻印を見て取りました。

ビルマ民主化を求めるわたしたちの思いが、代表的な民主主義国家である日本政府によって踏みにじられたことは大変ショックなことでした。ですが、それもわたしたちの闘いの一部です。わたしたちははるかに凄まじい暴力を乗り越えてきたのです。

わたしたちが今憂慮しているのは、わたしたち自身のことではありません。日本人の皆さんのことです。このように簡単に不当な暴力を行使してみせる国に暮らす皆さんのことなのです。わたしたちを苦しめるビルマ軍事政権とこの日本との間に横たわる距離の短さが、わたしたちを心配させるのです。暴力によって立つ政府は、いつか顔つきが似てくるものです。

わたしたちは、現在この4月26日「在外投票事件」の記録と証言を集め、日本政府とビルマ大使館に対して抗議を行おうと活動を続けています。日本の皆さんがこの弾圧をきっかけに、ビルマと日本の民主化のため、わたしたちともに立ち上がってくださることを心から願っています。

2008年5月6日

「在外投票事件」の真相究明を求める在日ビルマ国籍者一同