2008/05/16

もっとリアリズムを

5月14日水曜日の事件。

朝7時30分のこと、中目黒にある串焼きの食品加工場を10名ほどの入管の職員が襲撃した。

当時そこでは12人のビルマ国籍者が働いていたのだが、飛来した入管の職員は全員の滞在資格を調べ、そのうち6名が労働資格を持たないことを、輝く目で発見した。

そして、ただちに雇用者を呼びつけて、この6人をやはりただちに解雇させたのである。

問題は、この6人が難民申請中の身だということだ。

難民申請をすると申請中の滞在を保証する仮放免許可証という紙が申請者に渡される。そしてしばしばその紙には「働いてはいけない」と書いてある。

もっとも、書かれていない場合もある。どうしてある申請者は働いてよくて、別の申請者はダメなのか、その理由は知らされることはない。これがまずおかしなことだ。

次におかしいのは、「働いてはいけない」人が、難民認定の結果がでるまで、2〜3年も待たされるということだ(現在の入管が難民申請者の増加に対応できていないのでこんな事態になっているのだ)。その間どうやって生き延びれば良いのか。

働いてはいけないといいながら、そして何年も結果を待たせながら、入管は申請者を放置し、何の援助も行わないのだ。

だが、生きるためには腹を満たさねばならない。そのためには幾ばくかのお金を手にしなくてはならない。だから、難民申請者は働くのである。仮放免許可証の記載がどうあれ、生活のために働かなくてはならないのである。

それを入管は見逃さないのだ。摘発と称して乗り込んでくるのだ。飛んでくるのだ。そして仮放免の紙に「働くべからず」と書いてあるのをめざとく見つけては、解雇させるのだ。

まったく馬鹿げたことだ。兵糧攻めだ。難民申請者が飢え死にするのを見てるんだ。

いや、そうではない。そこまで入管はずる賢くない。ただ、入管の職員は、人間は食べなければ生きてゆかれぬという事実を知らないだけなのである。人間の現実を知らないのだ。

職場に、現場に、難民法に、入管法に、入管職員の頭の中に、もっとリアリズムを。

「そんなことわかってらい!」とやんちゃに言うのならば、難民申請者の就労を全面的に認めるか、申請者に生活費を支給したまえ。