2008/05/07

因果応報

因果応報を巡るカレン人キリスト教徒の話ふたつ。

在日カレン人のなかではちょっとした顔の夫婦の間に子どもが生まれた。その子は生まれてほどなくして皮膚病にかかり、頭の毛も抜け落ちるほど。

その夫婦に長いこといじめられてきたあるカレン人、赤ん坊のさまを見てひそかに喜んだ。すると、たちまちそのカレン人の体に異変が起き、痒くてたまらなくなった。

罪もない子どもの不幸を喜んだ自分に神様が罰を下したのだ、と恐れおののき、必死にその赤ん坊のために祈り続けたところ、体のかゆみも治まり、赤ん坊の病気も治ったという。

次の話。

アルコール依存症の若いカレン人と、彼の面倒を見ている年上のカレン人がいた。年上のカレン人は若者を自分の弟のように思って、あれこれ忠告するのだが、いっこうに効果なく、あいかわらず酒浸りの生活を続けるばかり。とうとう業を煮やして、ある晩、酔いしれている若者の足を思わず蹴ってしまった。

数日後、在外投票の日がやってきた。年上のカレン人は投票権を求めて、大勢の活動家たちとともに品川のビルマ大使館前に並んでいたが、やがて警察と機動隊の強制排除がはじまった。彼は、他の民主化活動家とともに激しく抗議し、警官たちに抵抗した。

あっという間に警官たちに取り囲まれた彼の足を、誰かが強く蹴った。それは数日前の夜、まさに彼が若者を蹴った箇所だった。羽交い締めにされながら彼は即座に、神が自分を罰したことを悟ったのだが、付け加えて語るには「警官たちは柔道をやっているだけあって、ローキックはたいしたものだったね」と。