2009/02/04

革命家

日本で革命(レヴォリューション)というと共産主義革命を指すのが普通だが、ビルマの政治運動の文脈では「ビルマ政府を打倒して民族の解放と自治権を獲得するための闘い」、いわば民族主義的革命を指すのに用いられる。

たとえば、カレン革命記念日(Karen Revolution Day)というと、ビルマ以外のカレン人の暮らすあらゆる場所で祝われる祝日だが、これはカレン人がビルマ政府に対して武装蜂起した1949年1月31日を記念している。

もちろんこれはカレンだけではなく、他の民族も同様で、カチン人もやはり自分たちの解放闘争を革命と言っている。

カレン民族同盟(KNU)はカレン人の反政府組織であるが、以前、その中堅メンバー、おそらく20年後には幹部のひとりとなっているであろう人物と車でタイを旅をしたことある。

彼は背は高くないが、厳つい体格で、しかも無口なので近寄りがたい印象だった。とはいえ、付き合ってみるとわかるが、無口なのは単に英語ができないだけで、本当は親切な人だった。

彼が40後半に見えるのに独身だというのを聞いたぼくは、別のカレン人を介して何の気なしにその理由を尋ねた。

すると彼は通訳を待たずに直接英語でこんなふうに叫んだのだった。

「俺は革命家だ(I am Revolutionary Person)。結婚なんてしないさ!」

ビルマ軍とカレン人が闘いはじめて今年で50年。世界最長の内戦ともいわれるこの戦争自体にはいろいろな評価があろう。だが、少なくともはっきりしているのは、このように叫ぶ人々がいなければ、とうの昔にKNUが(そしてある人々にいわせればカレン人そのものが)消滅してしまっていたということなのだ。