2009/11/18

森を見て木を見ない話(6)

6.ビルマの差別問題

ロヒンギャというのは、ビルマから逃れてきた難民の民族のひとつで、イスラムを信仰している。ロヒンギャの人々は、自分たちはビルマ国民としてビルマ軍事政権の迫害に苦しみ、家族や仲間を失ったのだ、と訴える。ところが、ビルマ人をはじめとする他の多くのビルマ諸民族の政治団体は、これを嘘だと主張する。「ロヒンギャはバングラデシュからの出稼ぎであり、ビルマの原住民族ではない。もちろん、難民であることは認めるが、彼らがビルマ人、カレン人、アラカン人などと同じ地位で扱われることは承認できない」というのである(ロヒンギャ難民については、この「平和の翼ジャーナル第6号」が実に適切なやり方で取り上げられている。ぜひとも参照してほしい)。ロヒンギャ人がどのような歴史を持つにせよ、ビルマの人々が取る態度は、許容しがたい民族差別、宗教差別に他ならない(付け加えておくが、ロヒンギャ人に強行姿勢を取る組織に所属する人でも、個人的には「同じビルマ人だよ、関係ないよ」と話す人は多い)。

写真展の主催者は日本人の組織であることはすでに述べた。ロヒンギャであろうとビルマ人であろうと、アラカン人であろうと、日本ではみな外国人、難民である。その意味では日本人として、ある民族を特別扱いするわけにはいかないのは当然のことである。主催者は写真展の開催にあたり、日本にあるすべての「ビルマ人」団体に協賛を呼びかけた。その結果、ロヒンギャ人のある政治組織が協賛を申し出たのであり、これを拒む理由は主催者側にはいささかもなかった。だが、これに国民民主連盟解放区日本支部をはじめとするビルマ民主化団体や少数民族組織は反発した。われわれはこのような人々と同席したくない、と憤激したのである。そして、これらの怒れる組織の中に、KNA-Japanも含まれていた(とはいえ、すべての団体が写真展に協賛しなかったわけではないことも明記しておくべきだろう)。