2009/11/20

森を見て木を見ない話(7)

7.協賛する理由

こうしたいかにも理不尽な状況のなか、OKA-Japanがあえて協賛する、というのは非常に意義のあることのようにと思えた。なぜなら、それはOKA- Japanが偏狭な民族主義には組しないということをアピールすることでもあるからだ。ロヒンギャに敵対的な団体からとやかくいわれる可能性も考えられたが、少なくともいくつかの有力な民主化団体、少数民族団体が協賛団体に名を連ねていることは励みになった。

また、認知度のゼロに近いOKA-Japanがビルマ人の団体や日本人の有力な支援組織と名前を並べることができるのも、魅力的なことであった。一言でいえば、いい宣伝になった。

この宣伝は重要なことだ。当時のOKA-Japanのメンバーのほとんどは難民認定申請中だった。つまり、これらの人々はいつ不認定となってビルマに送還され、軍事政権に再び迫害されるかわからないという状況にあったのである。この最悪の事態を避けるひとつの方策は、OKA-Japanという政治団体が、軍事政権にとって弾圧の対象になるほどの強い活動を行っていることを、難民審査の場で証明することである。

もちろん写真展の協賛程度では、その証明には十分ではないが、その最初の一歩、しかも望みうるかぎりに歩幅の大きい一歩にはなりえた。

さらに、多くのビルマ民主化組織にそっぽを向かれた形になった写真展の主催者にとっても、できたばかりの小さな団体とはいえ、ひとつでも協賛団体が増えるのは、うれしい話のはずだった。カレン人はその歴史的背景ゆえに非ビルマ民族の中でも特別な地位を占めている。そうした民族の名前が見当たらないというのは、主催者側からしても寂しいことに違いなく、KNA-Japanが協賛しない以上、OKA-Japanがいわばその民族的責任を果たすべきのように思えた。

つまり、どこからどう見てもOKA-Japanが協賛団体となった時に損をするものはいなかった。OKA-Japanにとっても、主催者側にとっても良い話のはずだった。すでにメールの返事にも書いたように、ぼくは「これはなんとしても日曜日の会議で話し合わなくてはならない」と心に決めていた。