2009/12/19

全身ドライバー

チンの若い人を乗せて運転する機会があった。

助手席に座った彼は、こんな話をした。

「ビルマにいた頃、あるドライバーが『車ってのは、全身で運転するものだ』と言ったのを思い出します。その人がいうには、手はハンドル、足はアクセルとブレーキ、目は道路を見て、耳で周囲の音を聞く・・・」

ぼくがハンドルを握りながら、「さすがに鼻はないだろう」と思っていると、彼は付け加えた。

「鼻はエンジンや車内の臭いから、調子の良し悪しを判断するのです」

なるほど、ビルマの町を走る車のほとんどは、日本でなら廃車になっていそうなものばかり。そうした車とうまく付き合うには、確かに五感を研ぎ澄まさねばならないのだ。