2010/04/05

送金偽装詐欺事件(2)

在日ビルマ難民の間で起きている1億円を超える送金偽装詐欺事件であるが、この事件の真相についてはぼくは十分に把握してはいないし、またこれが今後どうなるかもわからない。先週聞いた話によると、被害者たちは「泣き寝入り」という選択をしたとのことで、これが公の場に出るかどうかはまだ不透明だ。

ぼくがここで関心があるのは、この事件からみえてくる、軍事政権下で生きてきた人々の心の動きだ。

比較的安心できる社会に生きる日本人ならば、こうした事件の被害者になった場合、警察に訴えでたりして事件を「表沙汰」にしたり、弁護士などの仲介役を立ててお金を回収しようとしたりなどいろいろ打つ手だてはある。「被害者の会」を結成して交渉にあたるという選択肢だってある。

もちろんこれらは以前は日本では普通ではなかったかもしれないが、今ではそれほど特別なこととは思われない。

だが、今回の被害者となった人々は、そうしなかった。それには政治状況・民族・宗教・難民などからもとらされるさまざまな特殊な要因が働いていたのである。