2010/04/05

送金偽装詐欺事件(3)

この事件で被害者たちが泣き寝入りを(今のところ)しようと決断した背景は次のようなものだった。

1)在日外国人ならではの理由
被害者となった人のほとんどは難民認定申請後、何らかの在留資格を得た人々だが、難民申請以前には「不法滞在」者だったという経歴を持つため、日本の警察に対してはかかわりたくない、という気持ちあいかわらずもっている人がいる。また、事件を警察に訴えることでかえって、自分たちが逮捕されたり、滞在資格を取り上げられたりするのではないかというおそれをもつ人も多い。

そもそも今回の事件も故国への「不正」な送金という問題が絡んでおり、この後ろめたさも被害者をためらわせている。

2)非ビルマ民族ならではの理由
今回の事件でお金をだまし取った人はカチン人であり、また被害者もカチン人が多かった。そのため、この事件を表沙汰にすることは、「カチン人の恥」だという意識が被害者の間で見られる。

これはカチン人が被っている民族的差別を前提としなければわからない。つまり、噛み砕いていえば「カチン人の恥」というのはこんな意味だ。「ただでさえ、多数派のビルマ人から差別され、悪意ある先入観で見られている我々のイメージをこれ以上悪くすることはできない」

これに関して面白いエピソードを聞いた。