2010/04/19

通報義務

難民認定申請をするためには外国人登録証が必要だ。そこで、区役所なり市役所に行って、外国人登録してから、難民申請することになる。

ここで問題となるのは、公務員の「通報義務」だ。これは出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づくもので、公務員は不法滞在者を見つけたら、すぐに入管に通報しなくてはならないのである。

そのため、難民申請のため役所に行って、外国人登録したところ、その夜に入管が家にまでやってきて逮捕されてしまう、ということがあるという。という、というのはぼく自身はそうした例を見たことがないためであるが、いろいろな人に話を聞いてみると、実際にあるらしい。

そこで、外国人登録証のない難民が難民認定申請をする場合、どうするかというと、こんな具合だ。

1)まず午前中に役所に行って、外国人登録申請を行う。登録証の発行までは何ヶ月かかかるから、そのかわり、登録番号の記された申請証明書をもらう。

2)その足で入国管理局に行き、外国人登録証申請証明書とともに難民認定申請書を提出する。

つまり、通報されないうちに素早くことを済ませてしまおうという作戦だ。

申請者のなかには、役所に行った後、自宅には帰らずに友人宅にとまって翌日入管に申請に行くという人もいるという。

この間、難民認定申請準備をしていて、外国人登録をしようとしている松戸在住のビルマ人に頼まれて、松戸市役所に電話をした。そのとき、松戸市の市民課ではこの通報義務を遂行することがあるのですか、と尋ねたら「わたしたちにお答えできるのは、松戸に住んでいる外国の方はすみやかに外国人登録をしてください、ということだけです」という返事だった。