2010/05/07

猫の手と難民(2)

それはともかく、こうした方針転換の理由について、いくつかの説がある。

ひとつは民主党が政権を取ったことにより、この方針転換がおきた、というものである。つまり、民主党が難民に対して厳しい態度で臨むという方針を打ち出したことに起因する、というのである。

だが、これは2つの点から間違いだとわかる。まず、民主党には難民の処遇の向上のために活動している議員がいる数少ない政党のひとつである(とくに中川正春議員と今野東議員)。

この点からすればすくなくとも、今回の方向転換が(転換そのものに関するかぎり)民主党主導であるとは思えない。

もうひとつは時間的な問題である。

品 川の収容者の増加は、夏の終わり頃からはじまっていた。本格的に増えはじめ、その悪い方向への変化を誰もが気づき、確信するようになったのが9月頃のこと である。もちろん民主党政権がそれに拍車をかけたということができるが、先に述べたようにそれは民主党主導とは考えにくい。

それに、9月に発足した政権が、入管行政にそこまで即座に関心と影響を及ぼせるものだろうか。これまでの動きを見るかぎり、何事もゆっくり、がこの政権の特徴であるようだ。

ゆえに、この方針転換は民主党政権に起因するというよりも、民主党政権誕生に対するリアクションであると見たほうがいいだろう。そして、そのリアクションの主体は、もちろん入国管理局(法務省)である。