2010/10/03

文化的独断論をめぐって(2/8)

さて、大瀧会長がおっしゃったのは「会議においては議論のたびごとに副会長であるぼくに意見を尋ねており、独断で物事 を進めたことがなかったにもかかわらず、あたかもそのように書かれているのはおかしい」ということだった。この点に関しては、ぼくも物事を単 純に示そうとするあまり、記述において公平を欠いていたと率直に認めなくてはならない。少なくとも、大瀧会長は他者の意見を聞かず、自分勝手 に物事を進めるという意味では独断的ではなかった。

また「会長が非民主主義的な提案をなしたかのように取れる部分」とは、前回の記事でぼくが「なんなら(と日本人会長は考えを進める)、中央執 行委員会で次期役員を決めてしまって、総会ではただ会員から承認の拍手をもらうだけにしたらどうだろうか」と書いたことを指す。大瀧会長は自 分がこのような事実を主張したことはない、とおっしゃった。ここで訂正と謝罪をしたい。


前回の記事でもすでに書いたように、ぼく自身としては大瀧会長を非難したり揶揄したりするつもりはまったくなかった。ただ、BRSAの選挙を通じて、日本人とビルマ人との(あるいは日本社会とビルマ社会との)考えの違 いを描写しようとしたにすぎない。しかしながら、その書き方には十分練られていなかった部分があることは認めざるを得ない。ぼくは書くべきこ とを省略し、また重要な点で概念を整理し損ねていた。


書くべきことというのは、大瀧会長の行動や反応が日本人ならば誰でも取るもので、決してそれ自体は悪くも何ともないということだ。ぼくが前回 の記事で書いたのは、そうした日本人の行動が、ビルマ社会においては理解されない場合もあるという事態であるが、その背景に関しては十分書い ていなかったため、大瀧会長があたかも非難に値する行為をしたかのような誤解を与えてしまった。これはぼくの意図しないことであることをはっ きりさせると同時に、ご迷惑をかけた大瀧会長に謝罪したい。


また、もうひとつ書くべきことがあった。前回の記事でぼくは日本流の考え方と、ビルマ流の考え方の違いを述べたが、ただ2つ並べただけで、一 切の解決を示さなかったのである。解決を示さなかったのは、もちろんそれが自分にも分からないからであるが、少なくともぼくは次のように書き 加えるべきであったと思う。


「日本人とビルマ人との考え方は異なり、その溝は深いが、そうした問題そのものに気がつかせてくれるのは、日本人とビルマ難民がともに活動す るBRSAだからこそである。この問題の解決はそう簡単ではないが、このような問題に 直面すること事態、類い希なことであり、有り難く、楽しいことなのである」と。


だから、もしもこうした出来事をもって読者がBRSAに関して否定的な評価をするとし たら、それはぼくの狙いとはまったく別だ。ぼくむしろ多くの日本人にこういいたいぐらいなのだ。「ここに非常に解決が難しい問題が、歴史学、 人類学、哲学、言語学、政治学、社会学などなどあらゆる学問の知を集めなければ解けない問題がありますよ。どうです。やりがいがあるでしょ う!」 このような問題に日々直面できること、これがBRSAの魅力なのである。