2011/01/06

千田是也

大きな駅などの人が集まる場所では、しばしば私服の警官が張っていて、外国人に目を光らせている。オーバーステイの外国人をとっつかまえようとしているのだ。

彼らは外国人とおぼしき人に声をかけ、その人が外国人であればパスポートの提示を求める。

いわば、行き交う膨大な人々をスキャンして、そこから「非日本的なるもの」を抽出し、それに突進するわけだ。

抽出の前提となる「非日本的なるもの」もしくは「日本的なるもの」の現実性についてはさておくとしても、実際に用いられている抽出法にはいろいろあることだろうと思う。

ある中国からの留学生からそんな抽出法の一例を聞いた。

東京駅を歩いていると、男が急に近寄ってきて「ひったくりが多いので危ないですよ」と声をかけてきた。その留学生が返事をすると、男は警察であることを明かし、パスポートの提示を求めてきた。

声をかけたのは、もちろん相手から返事を引き出し、その言葉に「訛り」があるかどうか確認するためである。