2011/01/26

カレンドラム(1)

カレンドラムと呼ばれる青銅製の太鼓は、カレン人が伝統的に大事にしている楽器で、宗教的な意味を持っている。詳しいことはよくわからないが、表面を飾るカエルの装飾に代表されるように、春の生命力を象徴しているとかいわれ、祭などで打ち鳴らされるそうだ。

もともとは古代中国あたりの青銅器文明に由来するとされ、こうした青銅製のドラムを持っている民族は他にもあるそうだ。われわれ銅鐸民族にとっても気になるところである。

このドラムを持っている家はかなりの家柄であり、またこの太鼓そのものもそんじょそこらの人は叩いてはいけないものらしい。


上の写真は、本物のカレンドラム。2003年にビルマに行ったときヤンゴンで撮影したものだ。古くからの友人であるソウ・タムラさんの実家が所蔵するものだ。タムラさんのお父さんはこのときで92歳とかいう年齢で、わたしのためにこのドラムを叩いてくれた。高齢のせいなのか、そもそもそういう打ち方をするものなのかはわからないが、白い布を先端に巻いた木の撥でゆっくりとゴーン、ゴーンと打ち鳴らしてくれた。その深い響きはビデオにも収録してある。

その後、わたしも叩かせてもらったが、 後に国境で会った若いカレン人が「この太鼓を叩けるのは長老だけで、俺なんか叩いたことはない」というので、「叩いたことあるよ」と言ったら、ヘンな顔をしていた。

ソウ・タムラさんのお父さんは今なお健在でおられるということで、すでに100歳近い長老である。