2011/02/04

ベンアリの顔(5)

ベンアリの肖像で忘れてはいけないのが、商店やレストラン、事務所などでは目につくところに必ずそれが壁に掲げられているということだ。それはたいてい勲章をぶら下げた盛装のベンアリの写真で、シンプルな額に入れられている。大きさは縦30センチ、横20センチぐらいだろうか。

チュニジアの友人に「公共の場ではこのように大統領の写真を飾らなくてはいけないと法律で決まっているのか」と尋ねたら「そんなことはない。ただし、飾らなければ、当局からしょっちゅう邪魔が入るし、業種によっては必要な許可が出ないなどの妨害も受けることがある」との返事だった。

ところで、チュニジアはもちろんのことイスラム国のひとつで、ほぼ100%がムスリムだが、他の宗教の信者がいないわけではない。

まず、ユダヤ教徒。チュニジアのユダヤ教徒というと、チュニスとジェルバ島が有名だが、これらのユダヤ教徒の歴史は古く、イスラム教の興るはるか昔から、なんならカルタゴの時代からこのあたりに住んでいるという人もいる。それはともかく、少なくともチュニスのユダヤ教徒の多くは中東戦争以来、イスラエルやフランスに移住してしまったから、現在チュニジアにいるのはそれほど多くはないだろう(確か第2次中東戦争の頃のチュニスのユダヤ社会を描いたのが映画「ラ・グレットの夏」)。