2011/02/17

独裁の大義(2)

ビルマの場合は何が独裁を正当化しているかというと、それは「現在、ビルマは分裂の危機にある。この分裂を避けるためには、軍が責任を持って事に当たらねばならない」という現状認識だ。

これは、つまり、少数民族たちの抵抗運動が問題となっているのだが、ビルマ軍事政権はこれを連邦を脅かす叛逆ととらえ、これらの叛逆者たちを鎮圧し、国家の分裂を食い止めるためには、軍の独裁もやむなしと主張するのである。国家の存亡の危機においては、国民の人権など尊重できようか、というのだ。これは戦争中の日本でも起きたことだし、現代の日本でもないとはいえない。

それはさておくとしても、軍事政権からすれば少数民族は叛逆者なのである。

「連中は昔から我々の支配下にいたくせに、イギリスの植民地時代以降、欧米人にそそのかされ、ついには我々とみれば裏切ることしか考えないとんでもない輩、邪悪で性悪な反ビルマ勢力となってしまった。少数民族どもは、何かといえば分離独立で脅し、武力で抵抗し、ビルマという国を分裂させ、外国に売り渡そうとする売国奴の集まりだ」というのが、ビルマ軍事政権の言い分であり、それゆえこれらの裏切り者どもに対するあらゆる行為が正当化されることとなるのである。

だが、もちろん少数民族はこの見解には同意しないし、また実は軍事政権の本音でもない。