2011/04/05

リテラシー(3)

情報の価値を自分で判断することができない人は、次第にあらゆる事柄の背景に黒幕や陰謀の存在を見いだすようになる。

自分で情報を集めて、そこから自分なりの結論を引き出すのは、自分で新たな情報を生み出すことに等しいが、それができない人にとって情報とは自分の手の届かない所から降り注ぐもの、外在的な神秘として常に立ち現れる。この神秘性こそがあらゆる陰謀論の源のひとつとなっている。

日本人が好む陰謀論は、フリーメーソンだなんだと薄っぺらだが、ビルマ社会のそれはもっとどっしりとしている。生きた陰謀とでもいうにふさわしい。陰謀先進国だ。

日本赤十字社が義援金の1割をポケットに入れている、という誤情報が広まって、ビルマ諸団体の寄付の動きが停滞したことを前に述べたが、これについてある人がこう語った。

「民主化運動に敵対する者たちがデマを流して、在日ビルマ難民が団結して被災者を支援しようとする動きを妨害したのである」

ビルマの人々にいわせれば、なんだって陰謀だ。