2011/04/27

大量強制送還(1)

2010年には総選挙があり、スーチーさんも釈放された。それで今年の4月には「民主化」政府が晴れて新装開店の運びとなったわけだが、こうした流れを受けて、多くのビルマ難民、特に難民認定申請中の人と、難民申請の後に難民とは認められなかったが在留特別許可を得た人の間で、ある心配が広がっている。つまり、民主的になったのだから帰れ、と入管が方針転換して、ビルマに全員送り返されるのではないか、というのだ。

これらの人々が持つ入管への不信感からすればそのような怖れを抱くのも当然といえるが、少なくともこれに関してはわたし自身はその可能性は低い、と考えている。

とはいっても、わたしになにか特別な情報源があるわけでもない。ある人によれば、入国管理局のトップが「そんなことはありえない」と、大量強制送還を否定したらしいが、そうした情報がなくても、理屈で考えれば、そんなことは不可能だということがわかる。

現在難民認定申請中か、在留特別許可をもらったビルマ難民が何人いるかは正確にはわからないが、難民として認定された人をはるかに凌ぐ数であることは間違いなく、仮に3000人としておこう。

とすると、まずこれらの人々を一度に送還するのは不可能だ、ということがわかる。タイタニック号の二倍以上の特別仕立ての大客船でも用意しなければ無理だ。

いやそもそも、3000人の難民を一網打尽に捕まえて、同時に収容すること自体が不可能だ。

では、少しずつ、捕まえて送還していったらどうか。なるほどこれはいい案だ。しかも、普段の入管のやり方でもある。だが、即座にこれも無理だとわかる。