2011/08/26

カエル(1)

先々週の日曜日のカレン殉難者式典のあと、あるカレン人の夫婦が娘の3歳のお祝いにみんなにご馳走をするので、と自宅に招待してくれた。

この夫婦は日本で在留を認められるまで非常に苦労した人で、夫婦そろって入管に収容されていたこともある。そのとき、妻の方は妊娠の初期で、流産してしまった。

もっとも、初期の流産は特に理由なく起こることもあるから、入管の収容との因果関係は分からない。けれど、非常に辛い思いをしたのは間違いない。

また、夫婦同時に収容されてしまったため、アパートは放棄されたも同然となり、大家が勝手にふたりの私物を処分してしまった。結婚式の写真などの大切な記録がすべて失われたのである。

それが今では、3歳になる娘がいる。娘の写真も飾ってある。喜ばずにはいられようか、というわけだ。

それで、茨城に暮らすあるカレン人が、この喜びに花を添えようと、前日に贈り物を持ってきた。

大きなウシガエル。

どっかの川で見つけたのだという。本当は2匹持ってきたというのだが、「1匹で十分ですよ」といって断ったとのこと。

わたしが夫婦の家に行ったとき、そのカエルは黒々とした背を見せて風呂桶の水の中でじっと待っていた。

何を待っていたかって? そりゃもちろん、食われるのを。