2012/05/19

ビルマのカレン民族とカレン民族同盟(8)

(カレン民族同盟(KNU)副議長のデヴィッド・ターカーボウ氏とローランド・ワトソン氏共著のTHE KAREN PEOPLE OF BURMA  AND THE KAREN NATIONAL UNIONの全訳の8回目。)

(3.カレン民族の政治組織の続き)
カレン民族解放軍(KNLA)

以下は要約に過ぎない。

カレン人の自己防衛軍事力は、カレン民族解放軍、カレン民族防衛機構、さらにカレン警察、民兵、村落警備隊からなる。あわせて1万人以上の武装したカレン人がいる。

KNLAには7つの旅団と4つの本部大隊がある。旅団は5つ以下の大隊からなり、大隊は4つの中隊、中隊は3小隊、小隊は12人からなる3つの班からなっている。KNLAにはまた情報部、需品係将校、連絡将校、医療、軍事訓練、補充部門がある。

KNLAは5組織軍事同盟のメンバーである。他のメンバーは、カレンニー民族進歩党、アラカン解放党、チン民族戦線、シャン州南部軍である。同盟は情報を共有し、防衛協力を行う。

KNLAの使命はその創立から現在に至るまで、カレン人のための自己防衛のみにある。こうした防衛がなければ、カレン人はおそらく絶滅させられるだろうからである。KNLAには、カレン人の平和を守ること以外に望むものはない。

カレン人の自己防衛の要求に含まれるのは、SPDCの攻撃に対抗すること、麻薬を禁止すること、村の安全を確保すること、そして、人道支援活動の安全を確保することである。麻薬に関しては、KNUの方針は以下のようにまとめることができる。

1. コトゥーレイ、つまりカレン州は常に麻薬撲滅政策を実施してきた。これは今のところ、うまく成し遂げられている。

2. われわれはビルマの麻薬製造による脅威が増しつつあることに対処しなくてはならない。

3. KNLAはこの脅威に対処しうる特別作戦を確立している。

4. この問題にはカレン領土内あるいはカレン領土を通した覚醒剤、アヘン、ヘロインなどの麻薬の製造、流通、販売が含まれている。

5. こうした活動にかかわるものは、必要なあらゆる武力でもって逮捕される。

6. われわれは、この問題に関して協力的なアプローチを発展させるために、他のグループとともに働くこと、そして世界中の関心を持つグループからあらゆる支援を求めることを望んでいる。

実際問題として、われわれは、麻薬をカレン州から放逐し、タイへの船積み輸送をとどめるべく戦っている。あるときには、われわれは麻薬をビルマで見つけると、それらを処分するか、タイ当局へ引き渡すかしている。またあるときは、船積みにやってくるタイ人に警告を発し、タイ人自身に逮捕させている。

不幸なことだが、一言でいえば、われわれに手にはいる資源では、KNLAはカレンのための防衛を完全に成功させることはできない。われわれには、十分な人員、物資、武器がないのである。ひとつの理由としては、領土が長年にわたり減少し、そのために(正当な交易における)税徴収能力が落ち、防御に必要な資金が減少したことが挙げられる。また、現在のタイ政府は、一般的には麻薬に対するカレン人の闘いには手を差し伸べるものの、これ以外のこと、つまりSPDCに対してカレン人が強力に防衛することには反感を抱いているのである。