2012/08/02

Status of Residence

日本で難民として認められるか、人道的配慮により在留を許可された人が、在留期間を延長したり、在留資格を変更しようとするときには、入国管理局でその申請をしなくてはならないが、そのさいに身元保証人による身元保証書が必要となる。

この身元保証人は、日本人はもちろんのこと、正規に滞在しているならば外国人でもすることができる。そのため、誓約書には、日本語と英語の2種類がある(法務省の在留資格変更許可申請あるいは在留許可更新許可申請からダウンロードできる)。

身元保証人の当てがある人はそれに応じてどちらか選んでもらってくればよいというわけだ。

この身元保証人は、たいていの場合、署名とハンコだけで済むので、わたしはいつも頼まれるが、その際にいつも困ったと感じることがある。

身元保証書には、氏名・住所・被保証人との関係などを記す欄の他、日本語版には「国籍(在留資格,期間)」と書かれた場所がある。これは問題ない。「日本」と書けばよろしい(実際に弁護士がそう書いているのを見たので間違いない)。

しかし、英語版のほうはそうはいかない。なぜなら、日本語版の「国籍」に該当する箇所にただ「Status of residence(在留資格)」と書いているだけだからだ。

要するに「国籍」を記す欄がないのだが、これはそもそもこの英語版を「日本人」が記入することを想定していないためだろう。つまり、はじめから「日本国籍」以外の人が記入することを前提としているわけだ(逆に言えば、入国管理局にとって本当に確認する価値のある国籍は日本国籍だけということにもなる)。

それはともかく、実際的な問題として、わたしはこの「Status of Residence」の欄にどう記入すればいいのか、いつも困るのである。

日本語版と同じように「日本」と国籍を書けばいいだろうか? しかし、それは的外れだ。なぜなら、国籍については聞かれていないのだから。

では、聞かれている通りに在留資格を書けばよい。だが、日本国籍を持つ者の在留資格とはなんだ? 定住者でもなけりゃ、永住者でもない。法務省の「在留資格一覧表」には該当する在留資格はない。

もしかしたら、日本国籍を持つ人には、在留資格などないのかもしれない。あるいは、国籍が在留資格の代わりになっているのかもしれない。しかし、国籍と在留資格というのは次元の違う概念だ。ひょっとしたら、それがどこかでごっちゃになっているのだろうか?

法律についてまったく不勉強なわたしは、身元保証人書を前にいろいろ考えたあげく、在留資格を持っている外国人のほうが健全で、国籍と在留資格が混乱している(と、わたしには思える)日本人のほうが不健全なように思えてくるのである。ひょっとして、日本人であるってことは、なんかの病気なんじゃないか……?

しかし、病気だろうがなんだろうが、わたしはこの身元保証人のStatus of residenceに自分の在留資格を書かねばならない。なんて書きゃいいんだ、なんて書きゃいいんだ。仕方がないのでこう書いた。

「原住民」

土人だ。野坂昭如だ。