2012/08/01

Tattoo You

ビルマの人の中には、入れ墨をしている人がいる。

入れ墨といっても、日本人が思い浮かべるような倶利迦羅紋々的な派手な代物ではなく、たいてい、宗教的な意味を持つ素朴な記号や文字だ。黒っぽい緑色で、腕や手首あたりに彫られている。

それはどういう意味があるのか、とわたしはたまに聞くが、あまり明確な答えは返ってこない。おそらく、当人もよくわからないのだろう。多分、何か呪術的な役割があるのだろうが、こうしたものの意味はたいていの人には分からないものだ。日本人だって、例えば、お守りがどうしてあんな形をしているのか、答えられる人はまずいないはずだ。

とはいえ、これとは別に、意味のはっきりしている入れ墨もある。

多くの在日ビルマ難民が、日本で在留資格を認められるようになり、家族に会ったり、政治活動をするためにタイに行くようになった。

で、バンコクではどこでも彫師がいて、観光名物といってもいいほどだ(白人は結構、入れ墨が好きなようだ)。

そこで、バンコクに行った在日ビルマ難民も、ちょっとした記念に、というわけだ。値段もそれなりに安いらしい。

この場合は、図柄の意味は明確だ。わたしが知っている人は、国民民主連盟のメンバーだが、そのシンボルのクジャクを二の腕に彫ってもらっていた。

で、帰って妻に見せたら、怒られたという。

友人のカレン人も同じようなクチで、タイに行くたびに彫り物が増えて行く。

もっとも目立つのは、カレン民族解放軍(KNLA)のマークと、カレン人の政治信条(英語)で、これは胸に彫られている。

「われわれにとっては降伏は問題外。
カレン州の承認が成就されねばならない。
われわれは武器を手放さない。
われわれが自らの政治的運命を決めるのだ」


また、腕にはカレン民族の旗が彫られている。他にも、いくつかあるのだが、わたしはこれらについては書かないこととする。

というのも、これらの入れ墨を見たカレン人の女性たちの引きっぷりといったらない、「カレン人の恥だから、写真なんて取らないで!」とわたしに懇願する始末。