2012/09/26

チン語のオンライン・ディクショナリー

チン語のオンライン辞書を作るプロジェクトが、チンの人々の手によって進められているとのこと。

Zolai Dictionaryというのがそれで、すでに2万2千語以上のデータがあるという(もっともこのデータが何を意味するのか、つまり辞書の項目数なのか、テキスト総体の単語数なのかはわたしにはわからない)。

これは英語=チン語辞書で、英単語を入れて検索すると、該当するチン語の単語が出てくる。

しかし、チン語といってもその中にはいくつもの言語が含まれる。この辞書が対応するのは、ティディムとハカーというチンの中でも代表的な2種の言語だけだ。

とはいえ、ハカー・チンの単語が出てこないときもあるし、また、ティディム・チン語のほうが少々詳しいようだ。

わたしはいくつか簡単な単語を入れて、ハカーとティディムで比較してみたが、明らかに似ているものもあれば、まったく違う単語もある。そもそも、両者の話者は互いに理解できず、意思の疎通を図るときはビルマ語を用いる。

似ているものを挙げれば、「目」は、ティディム(T)でもハカー(H)でもmit。しかし、これはあくまでも文字が一致しているだけで、実際の発音、特に声調が同じかどうかはわからない。また、「手」は、Tがkhut、Hがkutで、関係ありそうだ。

しかし、「米」はTがbuhtangあるいはantangで、Hがfacang。関係ありそうでもありなさそうでもありといったところ。

いろいろと比較をしてみたら気がつくこともあるかもしれないが、言語の比較というものは、そんなに甘いものではなく、多くの素人が手を出して大やけどをしている火事場のような分野なので、門外漢はお遊び程度にとどめておくのが無難だ。

しかし、そうではあってもこのオンライン・ディクショナリーがどんどん発展し、精密になっていけば、この辞書を用いて本格的な研究も可能になるかもしれないとも思うし、そうした成り行きこそがこのプロジェクトに関わるチンの人々の願うところでもあろう。