2012/09/04

No No 構文

「NO MUSIC NO LIFE」というのはタワーレコードの宣伝文句で、「音楽なければ人生なし」とでも訳せる。

しかし、これをこう理解するには「No .... No...」が「〜なくして〜なし」という言い回しであることを知っていなくてはならない。例えばことわざに「No work, no pay」というものがある。こうした言い回し(構文)がいつできたのかは分からないが、そのような言い回しの伝統の中ではじめてこのNoNo構文が意味を持ってくる。

このNoNo構文はほかの言語にもあるのかもしれないが、少なくとも日本語にはない。

たとえば「音楽ない、人生ない」。

これはそもそも日本語としては不自然だが、それはさておいても、場合によっては「音楽なければ人生なし」と理解する人もいるかもしれないが、「音楽もダメ、人生もダメ」や「音楽も人生もない」と理解する人もいるかもしれない(この点に関しては「教えて!goo」の質問を参考にした)。

なお、同じタワーレコードのポスターに中国語で「没有音楽、没有人生」と書いてあったのも見たが、これが中国で通用するのかわたしは知らない。 

なんにせよ、こうしたNoNo構文がこのように解釈されるという伝統を知らなければ、たとえ同じことを英語でやさしくいわれても理解できるとはかぎらない。

こんなつまらないことを考えたのも、品川の入管で次のような場面を目撃したからだ。

アフリカ出身の男性が難民認定申請書を担当の窓口に提出していたのだが、入管の職員がこんなふうに言っていたのだ。

「住所がないと難民申請できませんよ」

アフリカ人は何がなんだかサッパリ分からない。

ついに職員、英語で同じことを話す。

だが、おそらくフランス語圏なのかもしれない。アフリカ人、英語もよくわかっていない様子。

「No address, No application?」

とつぶやきながら、はて、と首を傾げてる。

隣で見ていたわたしはもうじれったくって! もう答え自分で言ってるから!

アフリカ人、まだピンと来ない。困り果ててため息。

ああ、No refugee no cry......