2013/06/04

ネズミ,ウナギ,サル,ウシ,ブタ

ネズミ,ウナギ,サル,ウシ,ブタ各位

先日,都内某所のマンションの一室にて,わたしの友人であるカレン人らとともに,諸君を食したことをここに告げんとす。

ネズミよ

汝はかつてエーヤーワディ・デルタの田畑に在りしとき,人間たちが収穫するよりさきに,米や豆をたらふく食べ,たっぷりと脂を身につけたのだが,それが却って汝の身の災いとなったのである。

汝の肉について一言すれば,それはビルマにおいてすでに唐辛子をたっぷり混ぜたうえ油でしっかり調理され,冷凍状態にて運ばれてきたものであり,やや硬くパサつき,小骨多かったものの,生前汝の貯えし脂の滋味を味わうには十分であった。

町中のネズミとは異なり,自然を駆け巡りし汝の身体,清浄無垢にして食用に最適である旨,ここにあえて注記するは,汝及びカレン人の名誉を重んずるがゆえなり。


ウナギよ

汝もネズミと同じく,いやもっと多くの唐辛子とともに調理されて,ビルマの地より招来されたものであり,確かにおいしかったが,もしこれが蒲焼きならば,という思いがわたしの心中をよぎらなかったかといえば嘘になるといわざるを得ぬことこれ必定なり。


サルよ

コートゥーレイのジャングルを迷惑せる汝を捕らえしはこれカレンの猟夫なり。しかるに彼,汝の肉の代わりにその胃の内容物を穫りてこれを牛肉と煮込む。その匂い独特にして,クサヤの干物を越えること数万由旬,糞の一歩手前なり。却ってこれが食欲をそそること,げに不可思議無量の妙理なり。


ウシよ

汝,モツとしてサルの胃の中身とともに煮られ,その香を身に纏いて食卓に現れたるやよし。

ブタよ

汝,単なる業務用ソーセージとして食われたり。