2013/06/08

カチン・グローバル・デー・オブ・アクション緊急声明文・最終版

前回,カチン・グローバル・デー・オブ・アクション緊急声明文として訳出した英文の最終版がFederalism is key to genuine peace - Statement by 60 organisationsとして公になった。

わたしが翻訳したのは草稿版で,かなりの相違点がある。なので,改めて最終版を以下に掲載する。

真の平和の鍵は連邦主義
60の団体による共同声明

ビルマ政府が17年の停戦を破棄し,カチン独立軍(KIA)とカチン民間人に対して軍事攻撃を開始して2周年となる本日,21カ国の60のカチン民族団体およびビルマ・キャンペーン・グループはともにグローバル・デー・オブ・アクションを開催いたします。

ビルマ軍がカチン民族との停戦を破棄して2年の歳月が流れました。その結果,カチン民間人は絶え間ない軍事攻撃と人権侵害にさらされることとなりました。 軍事攻撃にさいし,ビルマ軍は民間人を標的にしているのです。これは戦争犯罪と認定することができます。また,ビルマ軍による人権侵害行為は国連においても記録されていますが,これらは人道にもとる犯罪と見なしうるでしょう。カチン民族民間人は,さまざまな人権侵害に苦しんできました。女性と子どもに対する強かん,法によらない処刑,拷問,強制労働,迫撃砲による砲撃,村の放火と略奪……。いまや10万を越えるカチン民間人が故郷から避難民キャンプへと逃れるか,国内避難民となっています。しかも,ビルマ政府はこれらカチン避難民に対する人道的支援を制限し続けています。国際的な人道団体が現地の支援団体を通じてこれら国内避難民を支援することが今なお必要なのです。

このグローバル・デー・オブ・アクションが光を当てるのは,カチン民族地域での人権侵害行為であり,そのうちには,戦争の道具として罪に問われることなく非ビルマ民族女性に対して性的暴力を行使するという広く見られる侵害行為も含まれます。また,永続的な平和を保障する「連邦主義民主国家ビルマ」の樹立をも呼びかけます。

世界中のさまざまな国で平和的なデモ,書簡やイベントを通じて,それぞれの政府に対する働きかけがなされるでしょう。それは,各国政府の圧力により,テインセイン大統領にカチン民族に対する攻撃を停止させ,彼を連邦制民主主義と民族の平等との原則とに依拠した政治的解決へと向かわせるためのものなのです。

ビルマでは,さまざまなアクションが予定されています。平和活動家たちが独立記念塔でリースを献花します。また,カチン・ピース・ネットワークをはじめとする現地の市民団体は,インヤー湖ですべての宗教に開かれた祈祷会を開催した後,平和的デモ行進を行う予定です。

イギリスでは,カチン・コミュニティとビルマ・キャンペーンUKがイギリス外務省前において抗議を行い,ウィリアム・ハーグ外務大臣に対して,ビルマ政府軍が犯した強かんと性的暴力の問題を重大に受け止めることを求め,連邦制に根ざした憲法改正がビルマで行われるための働きかけを要請します。

若干の和平交渉が行われてきたものの,真の停戦への動き,戦争の根本原因である政治的問題に取り組んだ内実ある交渉という点では,政府側からの見るべき進展はありません。カチン民族,そして他のビルマ少数民族が,軍部を後ろ盾としたビルマ政府のもとで苦しみ続けるなか,国際社会は凄惨な人権侵害にを前に見て見ぬ振りをし,それどころか主要な経済制裁を解くことをもってビルマ政府に報いているのです。わたしたちは国際社会に対して,今後起こりうるいかなる和平交渉・政治的プロセスにも積極的に関与してくださるよう強く求めます。

 「カチン州の紛争の根本原因は現行の憲法のもたらした国民間の不平等である。カチン民族をはじめとするすべての非ビルマ民族の民族自決権を保障する連邦主義的民主国家ビルマの成立という政治的解決なしには,この国に永続的な平和は決して訪れないだろう」(カチン独立機構外務省のガウル・ラオウンの言葉)。

(以下,声明に賛同する団体名のリストが続くがこれは略す。)