2013/07/30

カチン独立軍(KIA)の病院(3)

さて,ようやくわたしたちは遺体安置所を出て,隣の病院に入る。もっとも病院といっても建物も設備も最低限なものだ。長細い平屋建てで片方の端が処置室,もういっぽうの端が炊事場になっている。その間の長い空間がベッドの並ぶ療養室だ。

入り口は長い辺の真ん中あたりにあり,右側に12のベッドが向かい合って並ぶ。左側には片方だけに4つのベッドが設置されている。こちらは処置室のある側で,したがって負傷したばかりの兵士,ほとんど処置の済んでいない兵士が4人寝かされていた。


これらは前日の戦闘で負傷した兵士たちで,死んだ兵士と同じ部隊にいた。

1人は40代で,わたしとそう変わらない。左足の踵に傷を負い,その血は包帯から滴り落ちていた。その隣には全身傷だらけの若い兵士が意識なく横たわっており,人々が取り巻いていた。彼については後で書こう。


次の負傷兵についてはわたしはあまり記憶がない。4人めの兵士は,わたしたちが病院にいる間にストレッチャーに乗せられて,隣の処置室に運ばれていった。人々は彼を抱え上げなんとかベッドに載せたが,痛みが激しいのか,うなり声をあげて身体を痙攣させた。彼が去ったベッドの上には,血の溜まったビニールシートが残された。