2013/11/27

猿酒チャイティーヨー

また酒の話だが,ヤンゴンのレストランであるカレン人とビールを飲んでいた。

わたしたちの席は入り口に近く,テーブルの脇を人々がひっきりなしに行き来している。ビールのキャンペンガールが席を回って新しい商品を客たちに試飲させていたりもしてる。

流行りの飲み方なのか知らないが,わたしの友人はABCという黒生ビールと普通の生ビールを半分に割って飲んだ。で,わたしもそれを真似した。割るために黒ビールを余計に頼むのでテーブルの上はジョッキだらけだ。

わたしは気がつかないうちにジョッキをテーブルの端すれすれに押しやっていたらしい。友人がわたしに注意した。

「気をつけて! それじゃチャイティーヨー・ロックだ!」

チャイティーヨー・ロックというのはビルマ仏教の聖地にして奇観のひとつで,巨大な石が今にも転がり落ちそうなほどの絶妙なバランスで山に乗っかっている。これについては以前に書いた(「チャイティーヨー」)。

さて,カレン人の友人はこの奇石にまつわるカレン人の伝説を教えてくれた。

チャイティーヨー・パゴダというのはモン州にあるが,その山の辺りには昔カレン人が住んでいたのだという。あるとき,カレン人たちはこの岩に縄をかけて引き摺り下ろそうとした。ところが,石はびくともしない。それどころか,この不遜な行いにより,カレン人たちはサルになってしまった(伝説終わり)。

この話を教えてくれたのはカレン人だけれども,ビルマ民族仏教徒のカレン人への眼差しが強く反映されていると思う。