2013/12/22

東京拘置所(3)

一般受付窓口の奥には面会検査室があり,順番の来た面会者は面会整理票を提示し,そこでセキュリティーチェックを受ける。

金属探知のゲートを通過し,さらに金属探知機の検査を受け,そして面会に不要なもの,例えば携帯電話とか,コンピュータとか,アーマライトM16ライフルとかをロッカーに入れるのである。

チェックが済むと検査室の奥にある扉を開いて進むのだが,これがちょっと興奮する。というのも扉の向こうは部屋や通路ではなく,円形の空間になっているからだ。まるでダンジョンや秘密基地に来た感じだ。

面会者の前には2つの通路が伸びている。左手のは出口と記され,もう右手のものは面会室へと至る。この通路もまたいい感じで気分を盛り上げてくれる。

まず誰もいない。そして通路が長い。最初のほうで斜めに曲がる以外一直線だ。宇宙戦艦の内部!

ドキドキしながらこの通路を通過する。「大使館員弁護士待合室」と「大型面会室」2つの部屋の表示がある。

そしてこの通路は,おお,なんとうれしいことに,湾曲する回廊に接続される! 中央部のマザー・コンピュータまであと少しだ……。

グーグルかなんかで見れば分かるが,東京拘置所はXの形をしている。はじめの長い直線通路が,このX字の1本の端から中央に至る道であり,そして円形の回廊は筒状のこの中央部を回る道である。回廊の内側には小さく細長い窓があり,その内部,つまり東京拘置所の本当の中心部を少しだけ覗き見ることができる。それは草のはえた地面と何かの建物だった。

さて中央部の回廊を円周の1/4ほど歩くと,エレベーターホールがある。このホールもやはり円に近い形をしている。

エレベーターは向かい合わせに2基あり,わたしはそれで10階まで昇った。

エレベータを下りるとベンチが並び,その前にガラスで区切られた小部屋があり,制服姿の職員が2人いる。面会整理票を見せると,面会室を威張った感じで指示される。

面会室はこの小部屋を中心に左右に5室ずつあり,10まで番号が振られている。わたしが入ったのは3だ。扉の上には四角いランプがあり,面会中は赤く灯る。

面会室は小さな部屋で,真ん中が透明アクリル板で区切られたカウンターになっている。それぞれに2人ずつ座ることができる。しかし,これは入管の面会室と変わらないので,それほど面白くはない。椅子に座ってしばらくすると,我が友人が連行されてきた。

面会時間中は被拘置者の隣に職員が付き,書見台で会話を逐一記録している。

さてわたしは時計を持っていなかったので,面会時間については分からないが,面会検査室に入ったのが13:07で,出たのが13:35であったから,15分ぐらいというところだろう。

普段行かないところに来たせいか,まるで夢の国に来たような印象を抱きつつ,わたしは東拘ディテイニー・ランドを後にしたのであった。