2014/12/25

マナウの種類(4)

6)シャディッ・マナウ(Shadip Manau)
「シャディッと言うのは建設する、打ち立てるという意味です。この地に自分の領土を建設した、この土地はわたしたちが勝ち取った場所であり、わたしたちの領土である、という意味を込めてこのマナウを行います。(マナウ・リーダー)」

このシャディッは、そもそも地の精霊の名前であり(カチン語辞書)、この精霊に新しい場所を示し悪霊を祓うという目的があった(Traditions、p32)。

7)パダン・マナウ(Padang Manau)
パダンとは「勝利」の意で、カチンの首長間で、あるいは異民族との戦争に勝利したときのマナウである。リーチはこのマナウが土地の権利と首長の権力に結びついていることを記している。

あるリニージから他のリニージへの土地の譲渡のしるしとなるのは、両者の手で行われる祝典「勝利のマナウ」(パダン・マナウpadangmanau)である。それ以後、自分が太ももを食う首長だという新たな首長の主張の効力は、このパダン・マナウが行われたという公認の事実にもとづくことになる。(p174)

現代ではこのマナウは、イギリスからの独立とカチン州の獲得に結びつけられている。

「1948年1月10日にパダン・マナウが行われました。イギリスから独立し、ビルマ連邦ができました。そして、それと同時にカチン州ができました。自分たちの解放と、カチン州、つまり自分たちの領土の確立を勝利ととらえ、このマナウを行ったのです。(マナウ・リーダー)」

1月10日はカチン州記念日とされ、1948年以来、3年に一度、大きなマナウが開催されていた。しかし、1960年代にカチン独立機構とビルマ政府との戦争が始まると開催できなくなり、1994年の停戦まで再開されることはなかった。

「2000年以降はほとんど毎年行っていましたが、今年(2012)は、また戦争のためにできませんでした。(マナウ・リーダー)」

この戦争とは2011年6月からはじまったビルマ政府軍によるカチン州への攻撃を指す。

ナウションの衣装に描かれた竜