2016/01/12

マン・サムソン(1)(ネーピードーの虹 序章:1)

2015年7月27日、わたしのもとに一通のメールが届いた。


あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいで
んなさい。とびどぐもたないでくなさい。

間違えた。こっちだ。

「今度の選挙でカレン民族党(Karen National Party)から立候補することになりました。選挙運動を9月8日に始め、その月の終わりにはボーガレーとオンビンズを訪問する予定。同行歓迎。カレンの人々の話をもっとたくさん聞くにはうってつけの機会だと思います。 マン・サムソン。」

マン・サムソンさんというのはミャウンミャ在住のポー・カレン人で、ミャウンミャにカレン民族のことを調べに行くたびに色々お世話になっている方だ。

彼はみんなから先生と呼ばれているが、ビルマ政府の学校の先生ではなく、自宅で英語とコンピュータの私塾を経営している。カレン人としての節を曲げるにしのびず、ずいぶん昔に辞めてしまったのだという。いっぽう奥さんは学校に勤めていて、彼は一度わたしにこんなことを言ったことがある。

「妻に比べて私は社会的には失敗しているがね!」

もっともこの「失敗」はビルマ政府もしくはビルマ民族と折り合いをつけるのに失敗したということであり、それは経済的には失敗かもしれないが、カレン民族的には「成功」と言ってもいい。


ミャウンミャの道