2016/02/29

入管からの電話

入管の仮放免申請は、被収容者本人が申請人となることもできるが、他の人、例えば身元保証人が申請人となることもできる。

本人がする場合は問題ないのだが、そうでない場合は、委任状を提出しなくてはならない。その委任状は仮放免申請書の最後に綴じられていて、必要に応じて被収容者は委任状に署名する。

仮放免申請書には他にも被収容者が署名する個所があって(ただし収容所によって違う)、わたしが申請人を務める場合は面会をしてあらかじめ署名を貰っておく。

昨年の秋、収容されてもうすぐ1年になろうとするわたしの友人が品川の入管から牛久の東日本入国管理センターに移送された。品川で出した仮放免申請がダメになったのだ。とても悔しかったのですぐに申請することにした。しかし牛久なので行く時間がない。

さいわい牛久の申請書が手元にあったので、わたしは身元保証人として必要事項を記し、必要な書類を同封して収容所に送付した。友人は無事に書類を受け取り、自ら申請人となって申請したのであった。

それから1ヶ月ほどして、入管から電話がかかってきた。先日牛久で行った申請の件で聞きたいことがあるという。

「ただいま審査を行っているのですが、この申請の申請人はどなたでしょうか」

つまり、申請人としては被収容者であるわたしの友人の署名があるのに、わたしに申請を委任するという旨を記した委任状にも友人の署名があるのだという。なので、申請人がその友人とわたしのどっちなのかというお尋ねなのであった。わたしが慌てたか、彼がうっかりしたかで余計な書類まで提出してしまったのだ。

わたしは彼が申請人であることを説明し、「よろしくお願いいたします」と言って電話を切った。

だが、これはいったいどういうことだろう。入管にとって仮放免申請は釈放のための条件であるが、どんなに切実な申請だろうと、自分が出す気にならないと出してくれない。だからわたしは、入管は釈放が内々に決まってからはじめて申請書を取り出すのではないかと考えていた。

だから、その内容について聞いてきたということは、それこそ脈があるということではないか。

わたしは大いに期待して待った。

1ヶ月後、不許可の通知が来た。