2016/02/14

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(18)

こうした批判は、とくにカレン人において顕著に見られる。

カレン民族同盟(KNU)の議長を含む最高委員会は4年ごとに改選される。現議長はカレン軍出身のムートゥーセーポーさんであるが、KNU内の和平派である彼は対立する強硬派、特に次期議長との声望が高かったデヴィッド・ターカーボーさんに勝利して、主導権を握った。それは国外に暮らす多くの強硬派支援者の失望を引き起こしたが、同時に聞こえてきたのは、ムートゥーセーポーさん一派が選挙において不正を行ったという噂であった。

このためNCAに反対する多くのカレン人は、現在のKNUの指導者たちがその地位を不正に手にしたと考えている。

もっとも、すべての指導者がそうみなされているわけではない。副議長のノウ・セポラセインさんはかねてから強硬派として知られ、たいていの国外のカレン人は彼女には信頼を表明している。そして、その彼女がNCA式典に出席しなかったこともまた重要な事実として受け取られている。つまり無言の抗議というわけで、これをもって、KNU内部の不一致を協調する報道もある。

このように代表としての合法性に疑念が呈されてきたが、そのいっぽう、代表としての資質にも懸念の声がたびたび表明されてきた。ムートゥーセーポーさん一派は、カレン人のために働くという責務を忘れ、ビルマ軍人と組んで経済的利益を得るのに汲々としており、NCAもそのための口実に過ぎないというのである。この疑念は、メディアを通じて報道されるKNU幹部とビルマ政府要人との癒着的関係によっても強められている。