2016/02/29

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(20)

ただし、だからといって、KNUの停戦合意の署名が、まったくの愚行、あるいは多くの人々が考えているようにカレン民族に対する裏切りだというのは分析不足だと、わたしは考えている。

まず、KNUが和平派と強硬派に分かれているという事実を分裂の兆候と捉える見方もあるが、これは逆にカレン人の力を見くびった見方でもある。というのも、この「分裂」は別の見方をすればKNUの多様性の表れであり、そのような多様性を許すほどKNUという組織が変容しつつあるとも言えるわけだ。

これは弱体化であろうか、それとも成熟であろうか。わたしはその両方が当てはまると思う。というのも、弱体化こそ成熟のチャンスであり、その成熟こそが弱体化を乗り越えるであるから。その点から言うと、弱体化に脅えるあまり、強大化を追求する未熟な日本人よりもカレン人のほうがはるかに賢いとも言えるかもしれない。

いずれにせよ、社会はそれが直面する危機によって成長するのではない。それを直視する勇気が成長をもたらすのだ。わたしはカレン人社会はその勇気を十分に持っているのではないかと考えている。