2016/02/06

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(12)

人口についても同様にビルマ民族全体を含めれば、停戦合意の恩恵を受ける人々の数は、合意に加わっていない人々の数よりもずっと多いということになろう。もっとも、非ビルマ民族内に限った場合、多数派がどちらかは容易には決しがたい。

さて、これまでNCCT内の組織、民族、州、地域、人口を基準に比較をしてきたが、さらに軍事力の点からも比較することができる。とはいえ、わたしはこの点に関しては十分な情報はない。カチン人に言わせれば、今回の合意に参加した軍事組織は戦力的には少数勢力だという。確かにわたしが実際に見た経験からすると、カチン軍(KIA)は軍備の点では少なくともカレン軍よりも勝っているように見受けられたが、全体としてどうなのかは不明である。

しかし、たとえそうであっても、ビルマ政府ともっとも最初に戦火を交え、さらにカチン人とは違ってこれまで一度も停戦合意を行ったことのないカレン民族が、しかもその主力となるKNUとDKBAがともに合意に加わったことの意義は大きい。軍事的にはもしかしたらカチンよりも劣るかもしれないが、歴史的意義、あるいは影響力の強さという観点から見るならば、その不足を補って余りあるといえるだろう。