2016/02/09

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(14)

結局のところ、合意参加組織と不参加の組織のどちらが多数派かであるかという問題は、何を基準とするかという観点によって変わるとしか言いようがない。つまり、合意に加わった一部の組織を少数派と断ずることは必ずしもできないということだ。

そもそも平和の問題、しかも様々な民族の政治・軍事組織が関係する問題を、純粋に多数か少数かという数の観点だけで判定することはふさわしいことだろうか。そうした態度こそ、マイノリティの権利を損なうものではないだろうか。

重要なのは、単なる数の問題に還元するのではなく、個々の民族の状況を考慮に入れた実質に着目することと、この停戦合意が今後文字通りの「全土」に拡大し、永続的な平和の基盤となるだけの実質を備えているかである。

その答え自体は、この合意の成立そのものに求められよう。すなわち、そのように多くの人々が判断したから署名式典が行われたのである。この点に関しては後に触れるが、もうひとつここでとりあげるべき重大な異義について概観しておこう。