2016/03/01

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(23)

これらの人々は、和平交渉においてKNUとカレン人を繋ぐ役割を果たしてきた人々であるが、その中にはわたしが10年以上前から知るカレン人宗教者(牧師)も数名いた。

そして、これらの人々の普段の活動にも同行したことのあるわたしは、この牧師や神父たちが、合意を利用して利を貪ろうとしている悪人とも合意のために利用されている操り人形とも思えなかった(そのようにインターネットで主張するカレン人も多いのであるが)。

むしろ、これらの人々は、それぞれの現場で自分の民族のために地道に働いてきた人々である。つまり、戦争と迫害が自分たちの民族をどのように破壊してきたかもっとも知る人々なのである。

実際のところ、KNUに働きかけ、和平に向けたその決断を促したのは、これらの人々ではないだろうか。

もっとも、その点に関しては判断するだけの材料はまだない。また、具体的にどのような努力がこの停戦に結実したのかについても。同行したカレン人神父によると、和平への動きはすでに90年代からあったというが、詳しくは残念ながら聞く時間がなかったのである。次回の訪問でじっくり聞いてきたい。

いずれにせよ、KNUの停戦合意への参加は、国内のカレン人が抱いている平和への切望に応じたものであるというのがわたしの見方であるが、そのいっぽう、多くのカレン人、特に国外のカレン人が反対しているのも事実である。

それゆえ、これら停戦合意に納得していない人々の理解をどのように得ていくか、つまりカレン民族内の合意と相互理解の形成が、今後の重要な課題となるのではないかと思われる。